
実際にワークショップに立ち会った先生方や学校管理職の現場の声を掲載しています。
子どもたちの取り組みの様子や学びの手応え、英語とアートが交差することで生まれた気づきを通して、子どもたちの変化と学び、創造的自信が育まれていくプロセスをお伝えします。
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Voice 01
奈良市立左京小学校
校長 佐々木 幸充 先生
英語でアートの取組を本校で実施いただいて、今年度で3年目となります。過去2年度は、6年生の児童がアート活動に取り組みました。
年度当初に、今年度は1年生から6年生まですべての学年で実施していただけるというお話を伺い、前年度の活動写真や子どもたちの感想を拝見しました。「楽しかった。またやりたい」「描き始めたら止まらなくなった」など、充実した学びの様子が伝わってきましたが、一方で、オールイングリッシュで活動が成立するのか、集中が難しい子どもたちにも対応できるのかという不安もありました。
しかし、実際に参観すると、その不安は一気に払拭されました。子どもたちは自分の作品に向き合い、集中というより夢中になってイメージを膨らませ、テーマに沿いながらも一人ひとりが思い思いに取り組んでいました。教室に入っても振り向かず、制作に没頭している姿に驚かされました。
その理由は、「本物のアートに触れられたこと」「本物のアートを教わったこと」にあると感じました。英語という言葉の壁も、この時間には大きな障壁になっていませんでした。笑いを交えた説明に耳を傾け、英語でのやりとりの中でも、児童の思いや気持ちが確かに通じ合っていることを実感しました。
こうして生まれた作品は、子どもたちの気持ちが素直に表現された、まさにアート作品でした。本物のアートや英語に触れる機会を全校児童が経験できたことは、非常に貴重であったと感じています。

Voice 02
奈良市立済美小学校
校長 勝谷 征彦 先生
本校は創立150周年を迎え、地域や保護者の皆様への感謝とともに、新たな歴史を刻む一歩となる活動にしたいと考えました。そこで、全校児童462名による協働作品としての実施をお願いしたところ、快く引き受けていただきました。
ワークショップでは、1年生から6年生までそれぞれのテーマに基づき、子どもたちは自由な発想で形や色を表現しました。制作中は英語でのコミュニケーションを通して、創造する楽しさやものづくりの喜びを存分に味わっていました。
下校時の見送りでは、笑顔で挨拶を交わす子どもたちの姿から、人と人とのつながりの大切さも感じました。「うまく作る」よりも「自由に、楽しく表現する」ことの価値を、改めて実感しました。
当日欠席していた児童が、後日「自分も参加したい」と自主的に取り組む姿も見られ、本取組が子どもたちの意欲に確かな影響を与えていることを感じました。
完成した協働作品は、創立150周年記念式典の会場で披露されました。展示方法について教職員で工夫を重ねたことも、印象深い経験となりました。


Voice 03
奈良市立左京小学校
教務主任 堀内 大輔 先生
どの学年も「英語でアート」という名前を聞くだけで、児童は楽しみにしていました。当日も、分からない英語があっても、身振りや表情から理解しようとする姿が見られました。
全学年を通して印象的だったのは、言葉での表現が難しい児童が、アートを通して自分の思いを表現できていたことです。「早く描きたい」と意欲を高め、時間が足りないほど集中する姿も多く見られました。
また、外国人に英語で話しかけ、返事が返ってくる体験は、児童にとって大きな自信につながっていました。
一方で、「英語」と「アート」のバランスの難しさも感じました。英語だけでは理解が追いつかない場面もあり、適度な通訳の重要性を実感しました。
この経験をきっかけに、アートや英語への関心をさらに高めていけるよう、学校としても継続的な働きかけをしていきたいと考えています。

Voice 04
奈良市立左京小学校
2年生担任 坂本 駿也 先生
子どもたちは、普段から図工やもの作りが好きで、比較的授業に意欲的に取り組んだり、休み時間に折り紙などに取り組んだりしています。しかし、「やり切る」という面については、不十分だと感じていました。
具体的には、色を塗りきらずに「これくらいでいい」という気もちで終えてしまったり、教師に「これでいいですか?」と何度も質問したり、助言をしても「もう終わりにしたいから」とやめてしまったりする姿が見られました。また、自分の表現したいものがなかなか定まらず、活動に入るまでに時間がかかる子どももいました。
今回のワークショップでは、そのような姿の改善が、あらゆる場面で見られました。まず、色の塗り方では、細部まで塗りきりたいという気もちや、「時間が足りない、もっと塗りたい」という意欲が生まれていました。自由にカラフルに塗り込むことを楽しみ、もっとやりたいという前向きな姿勢が感じられました。
さらに、いつもは「これでいいですか?」と聞いてくる子どもが、「こんな風になったから見てください」と言葉を変え、自分の表現を見てほしいという姿勢に変わっていました。教師が求めるものを意識して表現する姿勢から、自分の表現を大切にする姿勢への変容が見られました。
活動に入るまでに時間がかかっていた子どもも、スムーズに制作に入り、いつもより作品づくりに没頭していました。ワークショップ終了後も、できるだけ塗り込もうとする姿勢や、最後までやり切る態度、自分の作品を作り上げて見てほしいという姿勢は継続しており、普段の授業の中でも、そのような姿を多く見ることができています。
今回のワークショップが子どもたちにとって大きな経験になった理由の一つは、「本物に触れることができた」という点でした。芸術家であるドミニクさんをはじめ、講師の方々の指導を受けられることを、子どもたちは以前からとても楽しみにしていました。私たち教師の図工よりも、より専門性の高い指導を受けられるのではないか、きっと楽しいのではないかという期待感が、子どもたちの中にあったように感じます。また、そのような講師の方々と関わること自体を、誇らしく感じている様子も見られました。
本物の英語に触れられた経験も、大きな意味を持っていました。年間60回のモジュール学習では、すべてデジタル教材で学習しているため、発音が合っているのか、これで伝わるのかという部分が曖昧でした。しかし今回、生の英語を聞き取れたという体験や、自分たちが話した英語が伝わったという体験が、自信につながっていることを感じました。
さらに、子どもたちにとって良い経験となったのは、全員で同じ目標を持ち、ひとつの作品を作り上げたことでした。普段の授業では、同じテーマで取り組んでも制作は主に個人で行い、鑑賞も個人単位になりがちです。しかし今回のワークショップでは、「スイミーを元気づけるために、カラフルな魚を作る」というテーマのもと、制作は個人で行いながらも、展示では全体でひとつの作品として鑑賞しました。
その結果、子どもたちは、みんなでひとつのものを作り上げた達成感や、自分の作品がその中にあるという所属感、嬉しさを感じていたように思います。普段なかなか行わない「全体でひとつのものを作り上げる」活動の価値の高さを、改めて実感しました。
また、2年生にとって、「言葉を入れる」ことはとても有効な表現の仕方であると感じました。低学年では、想像力や表現技法の経験が十分でないため、作品に込めた意図が相手に伝わりにくいことがあります。言葉を添えることで、自分の伝えたいことがより相手に伝わる実感につながり、自信にもなっていました。
鑑賞する側にとっても、言葉があることで作品に込められた意図が読み取りやすくなり、友だちの考えをより吸収しやすくなっていると感じました。言葉を入れた子どもたちの魚を使って大きな魚を表現する展示を行っていただいたことで、学びがさらに深まったように思います。


Voice 05
奈良市立左京小学校
1年生担任 丹野 恵美 先生
昨年度、ドミニク先生が6年生を対象に行った「英語でアート」の作品を見て、限られた時間の中でどのような言葉がけで完成したのか、とても関心を持っていました。今年度は全学年で実施できることになり、私自身の興味関心もさらに高まりました。
1年生は、色鉛筆とクレパスを使って動物を描きました。事前に描く動物を決め、その動物がどのような音を出すのかを考えました。いざ授業が始まると、ドミニク先生がまず大まかな流れと描き方を説明し、大きな机の周りに子どもたちを集めて、実際にやってみせてくださいました。「すごい」「早くやりたい」「もっとやって」と、子どもたちのワクワク感が一気に高まった瞬間でした。
私自身は、これまでクレパスで描いた上に絵の具で弾かせる指導をしてきましたが、「色鉛筆にクレパス」という初めての方法で作品が仕上がり、とても感銘を受けました。黒く縁取りをしたことで描いたものがはっきりし、言葉を加えたことで動きが生まれたように感じました。子どもたちの描く音は、私の想像を超えるものでした。
以前は自分の絵に自信が持てず、なかなか作業が進まなかった児童も、ドミニク先生の指導で自信を持って描けるようになりました。普段は弱々しくクレパスを使っていた児童が、紙の色が見えなくなるまで力いっぱい塗りつぶし進め、紙いっぱいに描いていた姿には驚かされました。その後、その児童は描くことに自信をつけ、迷いなく手を動かせるようになっています。
また、もともと描くことに自信のある児童も、アドバイスによってさらに表現を広げることができていました。短時間で完成までの見通しを示していただいたことで、多くの児童が安心して取り組めたように感じています。
今後もこの活動を継続できれば、描くことへの抵抗がある子どもにも、描くことが好きな子どもにも、自信や意欲につながっていくのではないかと思います。


Voice 06
奈良市立左京小学校
5年生担任 安部ひかり 先生
事前に「英語でアート」について伝えると、子どもたちはドミニク先生と会えることをとても楽しみにしていました。コロナ禍の影響もあり、教科書や教師の声以外の英語に触れる機会が少ない中で、自分たちの知っている英語を使い、返事が返ってくる経験は、子どもたちにとって嬉しい体験となりました。
当日は、すべての英語を理解できたわけではありませんでしたが、先生の表情やジェスチャー、板書を手がかりに、何とか理解しようと熱心に聞く姿が見られました。また、ドミニク先生やアシスタントの先生方が丁寧に声をかけてくださったことで、安心して活動に取り組むことができていました。
消しゴムを使わず一発書きで描く経験は、これまで多くありませんでした。緊張する児童もいましたが、仲間の様子を見て「じゃあ自分も」と一歩踏み出す姿が少しずつ増えていきました。間違いを恐れず、受け入れて次につなげる姿勢を、今後の生活やさまざまな学習にも生かしてほしいと思います。

※掲載内容は、寄稿者の許可を得て掲載しています。

